R3年度4月から地域包括支援センターに配属になりました。
漠然としか知らなかった介護保険を使ってサービスの調整をする、経験したことのない仕事に四苦八苦しています。
看護師として働いていたころ、介護保険についてきちんと理解しているとは言い難いものでした。
入院を機にADLが低下したり、医療処置が必要になる患者さんがいて
「これは退院調整が必要そうだな」
「何か退院支援をしないといけなさそう」
なんて思いにかられることは何度も経験があったものの、です。
退院調整看護師さんや退院カンファレンスで「介護保険を申請した方がいい」と言われ、家族に申請を促すこともありましたが
正直言って介護保険ってどういう仕組み…?
と恥ずかしいくらい介護保険のことを知らずに過ごしてきました。
そもそも申請の仕方も怪しい…( ;∀;)
平成31年に亡くなった父も利用していたのに、しかも私が申請したのに!!(やばい!)
そんな私が地域包括支援センターで働きだして、本人、ご家族の代わりに介護申請もする役目をいただきました。
働きながら学んでいるところですよ。
学んだことをアウトプットして学びを深め、みなさんにシェアしたい…!
なんて気持ちをもって記事を書いていきます。
「介護保険って自信がないわ…」なんて同業の方がいましたら、安心してください!仲間ですよ!
いっしょに学びましょう、お役に立てたらとても嬉しく思います(T_T)。
介護保険の申請から認定まで
どうして介護保険を申請するのか
そもそもなぜ介護保険を申請するのか、介護保険を申請する目的、介護保険で何ができるのかがわかっていませんでした。
なぜ介護保険を申請するのかイマイチよくわかっていなくて、地域包括の先輩に聞いてみました。
すごく簡単にいうと「介護保険のサービスを利用したいとき」なんですよね。
介護が必要な状態になって何かサポートが必要になったとき…と覚えよう
じゃあどんなサービスがあるんだ…?となりますよね。
介護保険でどんなサービスがあるのかをめちゃくちゃざっくりですが、退院支援の視点からまとめた記事もありますのでご参考にしていただければ嬉しいです。
参考記事:「看護師が知っておきたい退院支援と介護保険のこと【介護保険でできること編】」
退院時点の患者さんの状況で、施設入所や自宅退院を考えている場合に必要となってくるかな、と思います。
ざっくり知っているだけでも、イメージがわきやすいので参考にしていただけたら嬉しいです!
ちなみに介護保険の対象になる方は
- 第1号被保険者:65歳以上の方
- 第2号被保険者:40歳~65歳未満の方で特定の疾病を有する方
になります。ちなみに特定疾病とは…
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靭帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節を伴う変形性関節症
です。のちほど紹介しますが、40歳~65歳未満の方で介護保険申請をする場合、「医療保険証」の確認がありますのでご注意くださいね!
代行申請でコピーを持っていくのですが、持っていくのを忘れてとりにいくこともあります( ;∀;)
ではでは、本題の介護保険の申請から認定までの流れをお話していきますね。
介護保険の申請
介護保険の申請は各自治体の役所で申請します。
市区町村によっては「福祉課」「高齢福祉課」「介護保険課」などいろいろな名前がありますが、窓口で「介護保険の申請をしたいんだけど…」と聞けば教えてくれます!
自分や家族が入院していたり介護で身動きがとれないなど市役所に行って申請ができないなどあれば、地域包括支援センターの職員がかわりに申請をすることもできますよ。
介護の相談などで訪問してサービスが必要そうと判断したらそのまま介護申請もお手伝いしています!
地域包括支援センターの業務や役割などを記事にまとめてありますよ!
あわせて読みたい
実際に介護申請のときに何が必要なのかをご説明していきますね
介護保険の申請で必要なこと
まず準備するものです。
①要介護認定申請書
②介護保険被保険者証(40歳~65歳未満の方は医療保険証)
③身分証明書(運転免許証、マイナンバーカードなど)
①要介護認定申請書
①の要介護認定申請書は各自治体の役所に置いてあります。
最近では各自治体のHPでダウンロードできるところもありますよ!
地域包括支援センターに代行で申請を依頼するときは職員が持っていますので、本人・家族が準備する必要はありません。
②介護保険被保険者証
「介護保険被保険者証」は65歳の誕生月の前に送られてきますよ。
とはいえ、私が代行申請するときは持っていかなくても名前と生年月日で手続きしてもらっています…
厳密には必要と言われていますし、手続きにはあると便利なんだろうなと思います。
各市町村で対応の仕方がかなり異なるので、一度電話でご確認いただいてからのが安全です!
何度も役所に行ったり来たりするのは大変なので…!
ちなみに第2号被保険者の方は医療保険証を持参してくださいね
代行申請をする際に医療保険証のコピーを持参し忘れて取りに帰る悲しさったらないんです…
③身分証明書
運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証明書を持参ください。
これは父が介護申請したときに私の免許証を提示しました
ご本人ならばご本人、ご家族が代わりに申請するのならご家族のものもあった方がいいと思います。
申請に行く場合は、事前に各自治体に必要なものを確認してください
介護が必要となって大変な時だと思いますので、行き来の手間がなくしてほしいです!
介護保険の申請で記入する内容
個人的に事前に確認してほしいなと思うのが、「主治医のフルネーム」です。
介護申請をするにあたり、「介護保険の認定調査」と「主治医の意見書」が必要になります。
「主治医の意見書」はかかりつけの医師がいればそちらにお願いしますし、入院中で主治医が記載してくれるのなら申請書に記載します。
入院中の患者さんで介護保険の申請をご家族に依頼する場合、主治医のフルネームを教えてあげると親切です。
申請しに行って「あれ、だれだっけ…?」となりやすいですし、間違えて覚えていることもあります
実際には主治医の「担当する科」も教えてあげると助かります。
最近は名前さえわかればHPで見つけられることもあるけど…
もし患者さんが第2号被保険者にあたる場合、「医療保険証」の持参と該当する「特定の疾病の名前」をお伝えしてあげて下さい。(この記事のはじめの方にまとめました)
その他記入する内容をまとめますが、ざっと調べたのですが、申請書の様式が各自治体によって異なりますので参考にしていただければと思います。
わからないところは、職員さんに聞きながら埋めていけばいいです
- 名前、住所、生年月日、電話番号
- 申請の理由
- 新規申請か更新か区分変更かなどにチェックや〇をつける
- かかりつけ医の病院名、主治医名(担当科)、病院の住所・連絡先、(最終受診日)
- 第2号被保険者の場合「疾患名」
- 申請者が家族の場合、名前や連絡先など
だいたい共通する項目をあげていますが、自治体によって書式が異なり記入する項目も違います。
全国で統一した書式にすればいいのに…と思ってしまいます
認定調査の日時をいつにするか予定を確認する項目や追加で用紙をつけていたりする自治体もあるので、「隣の市なのに全然違う!」ということも起こっているんですよね。
介護認定調査と主治医意見書
介護申請を各市区町村の役所にしたら、しばらくして役所から認定調査員から連絡がきます。
ご自宅に調査に行くのなら、本人やご家族に連絡がいきます。
病院に入院中ならば病院に調整の連絡が来ると思います。
認定調査には、調査員の方がきて本人の様子を確認します。
認定調査のとき、看護師に普段の様子を聞かれることってありますよね
どんなことを聞かれるのかドキドキするかもしれませんが、基本的には質問に正直に答えるだけで大丈夫です!
認定調査が決まったら、だいたいの経過、病気のこと、ADL、現在行っている医療的介入について確認しておくとスムーズです!
認定調査員が調査した項目と「主治医の意見書」をコンピューターに入れて、「一次判定」をします。
「要支援」か「要介護」がだいたいこことで決まります
その後に介護認定審査会(二次判定)が開催されて介護認定が決まります。
ちなみに、主治医の意見書は各役所が直接病院に送り、記載されたら病院から役所に返送されます
ですので特に看護師はなにもやらなくても大丈夫です!
認定調査員の方が確認している内容って気になりますよね。
「トリケアトプス」というサイトで一次判定ができる「便利ツール」というものがあります!
入力していくと、一次判定ができるのですが、看護師の感覚で入力していくと結構ズレます。
「どれくらい介護を必要とするか」という観点で判定するようなので、看護必要度の感覚だとずれてきてしまいます。
利用者さんに「要支援」が出そうかな、「要介護」が出そうかな…なんて気になる時にポチポチいれています
介護認定調査員の方がどんな視点で調査をしているのか確認するには便利ですよ!
ご参考にしてみてくださいね。
要介護認定区分の判定
要介護認定区分が決まるのはだいたい、要介護申請をして1カ月以内となっています。
私の担当する地域では、1カ月を余裕で越えてきています…高齢化の波でしょうか( ;∀;)
介護認定審査会(二次判定) がされると、翌日に介護保険証が発送され、翌々日に書留で送られます。
日曜日をを挟めばまた期間が変わってきますし、各地域によって異なるので、あくまで目安にしてくださいね
こうして要介護認定がわかる、という流れになっています。
要介護認定が決まると、使えるサービスやお金の範囲などもわかるので本格的にサービスの利用が開始になりますよ。
病院の看護師として介護認定で知っておくとよいポイント
さて介護保険の申請から認定までを流れでご説明してきました。
病院の看護師としてだいたいの流れを知っておくと、患者・家族に「介護保険ってどうするの?」「どういう流れなの?」みたいに質問されても答えやすいかなと思います。
介護申請を本人(はあまりないかな…)や、ご家族に依頼する場合、ポイントをまとめておきますね。
「介護申請を依頼する時」
- 市町村の役所で申請できる、もしくは担当の地域包括支援センターに相談
⇒申請者が行きやすい方でいいです - 主治医のフルネームは伝えておきましょう
⇒余裕があれば意見書を書いてもらえるか確認できるとベストです
(退院支援部門の方がされるかもですが) - 主治医の担当の科の正式名称を伝えると親切
- 第2号被保険者の場合は「該当する特定疾患名」を伝え、医療保険証を持参してもらう
- 申請後は認定調査があること(入院中なら入院時にやることが多い、状況によって転院後、退院後)
- 主治医意見書は役所と病院が勝手にやりとりしてくれる
- 申請日から認定がおりるまで約1カ月かかる
…くらいかな、説明できるとかなりわかりやすく親切だと思います!
介護保険のことって個人的によくわからない…と思っていましたので、同じ思いを抱かれている方のお役にたてればとってもうれしいです!
なぜ申請するのか、どういう流れなのかを知っているだけで、退院支援の一部を根拠をもって介入できるので、とてもいいですよね。
実際のサービスにつながるまでの流れは、また記事にまとめていきたいと考えています!
ここまで読んでいただき、大変ありがとうございました!!