R3年度に病棟を離れ、同じ病院内の「地域包括支援センター」に保健師として配属になりました。
地域包括支援センターに配属になってから1年間経ちます。
配属された当初は病棟とはかけ離れた世界、まるで異世界体験でした。
当時の気持ちを語った記事です↓↓
参考記事:地域包括支援センターの認知度低くね…?看護師を長年やっていても知らないの私だけじゃなかった話
1年経つと、なんとなく地域包括支援センターの役割や自分が何をすべきか見えてきたような気がしました。
役所や事業所の方々の顔もわかるようになり、ずいぶんと仕事がしやすくなっています。
そして病棟の中で起きていることを知っていながら、地域で起きていることもわかる院内でも数少ない人材になりつつあると自負しています。
たくさん課題を見つけられるようになり、今後看護師としてどう働きたいか想像するようになっています。
私がこれから看護師としてやりたいこととは?
今回はこの1年を振り返り整理したいと思いまとめてみることにしました。
「自分の働いている病院と地域との間にある課題」
「自分の看護師としてのやりたいこととは?」
看護師のキャリアに悩む方々の参考の1つになるといいなと思っています。
地域包括支援センターで働いて見つけた病院と地域の間にある課題
勤務する病院は愛知県内にある、そこそこ大きい地域の総合病院です。
地域の中では大きな病気がわかると、かかりつけ医に紹介状を書いてもらって受診するような急性期病院にあたります。
簡単ですが私の背景をご紹介します。
- 異動はあったものの15年間混合病棟だったのでほぼすべての科を経験した
- たまたま保健師の資格があったために「地域包括支援センター」に配属となった
- 病院内に「地域包括支援センター」がある
- 医療職として担当地域の介護予防教室の開催、体調不良の利用者の様子を見にいったりする
- ケアマネの資格はないが、ケアプラン作ったり介護保険のサービスの調整もしている
具体的に課題に感じたことをお話しします。
同じ病院内にあるのにほとんど認知もされず連携もとられていなかった
恥ずかしながら15年も病院に勤めていたのに、地域包括支援センターの存在を知らずにいました。
それくらい病院内の看護師から認知されていない部署。
地域包括支援センターには、熟練のケアマネさん、社会福祉士さんが在籍していて、介護保険や、多くの福祉制度の理解も深い方ばかり。
利用者さんひとりひとりの価値観、人生の過ごし方に寄り添いながら支援していました。
地域のデイサービス、福祉用具を扱う事業所、役所の方々とのコミュニケーションも円滑で顔が広い。
看護師として病院で働いていると、病院の中ですべてが起きている、と勘違いしそうになります。
病院がまるで陸の孤島に見えてきてしまって…
入院している患者さんにとって「病院の中での生活は人生の短い時間のたった一部」であること。
入院している時間よりも病院の外で過ごす時間の方が圧倒的に長いのです。
地域には多くの支援者の方々が活躍されているのに、それをつないでくれる地域包括支援センターの存在が知られていない。
病院と在宅での支援をする地域包括支援センターとの連携がないどころか、関わった看護師にしか認知されていない状況に愕然としました。
どの口が言っとるねんって感じですが…。
そして地域側も病院に高い壁を感じているのを知りました。
- 利用者さんが入院したと思ったら、知らない間に退院していた
- 退院調整に関わりたいと伝えていたのに、何の連絡もなかった
- 調整をいろいろしていたのに、知らぬ間にサービスを変えられた
- 介護保険区分変更申請していた
- 区分変更の代行申請を依頼したきりで他に連絡がなかった
- 地域包括支援センターに丸投げで最低限の支援もしていなかった
利用者さんの命や健康を握られているので、立場上病院が強いからでしょうか。
病院側の言い分としては
- だいたい8日前後で退院するから連絡がなければ大きく変わらず退院するからよろしく
- 必要なら自分たちで情報を取りに来い
ぐらいのスタンスだったんです。
退院後の支援をお願いするのに、「えぇぇ、強すぎ!」って思いましたよ…。
退院調整部門のスタッフが院内の経験しかしたことがない人ばかり
退院調整部門のスタッフが地域包括支援センターに丸投げするのが多発していると聞きました。
退院調整部門のスタッフには、顔も知りのスタッフが多数いますが、ほとんどが病院内だけで勤務してきた人ばかり。
病棟看護師から退院調整看護師になって経験も浅い人が多いので、単純に知識も経験も少ない上に、病院外の人との顔もわからず調整に苦慮しているように感じます。
急性期病院である以上、スピーディーに退院させる必要があり、緊張するDrとのやり取りもある。
想像しただけで胃が痛くなる、ストレス多そうです…( ;∀;)
全員が病院外の経験を積む必要はありません。
数人でも経験があり、介護保険がわかる人、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所のケアマネがわかる人がいて情報共有すれば、退院調整の業務がしやすいはず。
もう少し、病院外での経験のあるスタッフを増やしてほしいと考えています。
地域内と病院との顔を合わせる機会が少ない
地域包括支援センターはケアマネさんたちのフォローをする役割もあります。
地域のケアマネさんといっしょに勉強会をすることもあり、お互いの顔を知る機会になります。
病院と地域のケアマネさんが交流する機会はほとんどありません。
地域包括支援センターの職員との意見交換会は市役所の声掛けのもとに最近開催されたばかり。
以前は病院にケアマネさんが来ていました。
現在はコロナ禍で面会禁止になり、ケアマネさんや退院調整看護師、病棟看護師がお互いの顔を合わせる機会がありません。
連携をとりやすくするために、お互いの顔を知るだけでもハードルを下げられます。
どんな人なのかわからない人に、連絡とるのって緊張しますから…。
お互いの顔がわかると安心感がありますよね!
病院内でケアマネさん向けの勉強会をしていますし、退院調整部門のスタッフにも参加してもらえたらどうかな。
感染対策に気をつけて上司に相談してみようと考えています。
忙しいっていって来てくれないのかな、挨拶するだけでもいいよねぇ…。
病院と地域での間で見つけた課題とこれからの看護師としてのキャリアを想像する
これまでに病院と地域での間にある課題をまとめました。
うちの病院がやばいのか、他の地域はもっと連携がとれているのか…?
もしくはうちの病院だけが連携がとれていなくて、他の病院とはとれているのか?
まだまだ調べる余地はあるかもしれませんが、調べるだけで行動しなければ何も変わらない。
そう思うと、自分のこれからの働きたい道を考えるようになりました。
もっと病院と地域との連携ができる環境づくりをしたい
漠然と病院と地域との架け橋のような存在になりたいです。
病院と地域の両方を知っている人はそう多くはいないはず、私の強みだと思うんです。
地域包括支援センターでの仕事はとても勉強できます。
ですが、保健師として働くのが個人的には合わないように感じていて…。
現場でもりもり患者さんと利用者さんと個別でやり取りするのが好き。
今の自分はケアマネさんの「まねごと」と、保健師としての引き継がれてきていることをやっているだけ。
もっと自分で考えて働きたい…!
個人よりも対象の多い病気や介護の予防教室などするのはとても大切なこと。
ですがやっぱり個別に関わりたいし、環境づくりや人と人をつなげられる仕事に力を注ぎたい。
地域包括支援センターで1年働くことで気づきました。
とにかく現場が好きなんだな、と実感しています。
異動したことは後悔していません、自分の得意不得意、興味のある分野がわかりましたからね!
なんと!看護部長とお話をしました
病院内の地域包括支援センターで1人だけの保健師として配属しています。
看護部からの出向という形で配属しているのですが、昨年度の終わりに呼び出されました。
こんなチャンスはめったにない!
と1年間で感じた病院と地域との間で起きている壁の高さについて訴えまくってきました。
怒られちゃってもいいと思っていたのですが、看護部長は思っていたよりもよく話を聞いてくれて
なにかやりたいことがあったら紙にまとめて持ってきていいよ(o^―^o)
と言ってくださった上に、最近は地域包括支援センターの事務所にきて様子を見にきてくれているようです。
訪問に出ているときにたまたま来ているようで、なかなかお会いできませんが…。
これからの看護師としてのキャリアを考える
人生100年時代、まだまだ生きていく予定ですが、社会状況を考えると一生働き続けていく必要があります。
看護師として働いていくうえで、これからのキャリアをどうしたいのか、考えます。
病院と地域との架け橋のような存在になりたいと漠然と考えているとお伝えしました。
考えている中で、自分の描く未来のために今現在やっておいた方がよさそうなことをまとめてみます。
- 退院調整部門に入って地域包括支援センターでの経験を生かして退院調整をしてみたい
- でも自信がないからあと1,2年地域包括支援センターで働こう
- 地域で働く人たちともっと顔を知ってもらおう
- 地域の活動や勉強会に積極的に参加しよう
- ケアマネの資格を取っておいた方が退院調整として働くのに知識がついて説得力も出るかな
- ケアマネの資格とるために勉強を始めよう
- 地域包括支援センターのことを知ってもらうために、病棟にも行こう、周知活動もしよう
「こうしたいな…」と思う未来像があると、具体的に今やることが見えてきました。
ケアマネの教科書とか問題集とかも購入しましたよ
ケアマネさんの勉強内容が多すぎて、受かるのか不安で勉強進んでないんですけどね…(;'∀')
看護師としてのキャリアを考えると、退院調整看護師として働いてみたい気持ちが強いです。
地域にも強い退院調整看護師になって、退院後のサービスを整えたりケアマネさんたちに引き継いで、患者さんやご家族を安心して退院させてあげたい…。
病棟看護師と地域包括支援センター、ケアマネさんたちの窓口になって、働く人たちが働きやすくなったらいいな…。
いずれ、病院と地域とのつながりをしやすいシステム作りもしていきたい。
漠然とですが未来においてなりたい自分を想像しながら日々行動していきます
退院調整看護師を目指すのには末期がんの父の介護を経験したから
父は平成31年に大腸癌でなくなりました。
私は看護師にも関わらず、在宅での看護、介護のことがよくわかっておらず、勧められるまま言われるままサービスを入れてもらって介護生活を過ごしていて…。
地域包括支援センターに配属となって、父の介護の間にいろんな方の力を借りていたんだ、とよくわかるのです。
「あのとき、うちに来てくれた人はケアマネさんだったんだ。」
「あのときに人が集まったのはサービス担当者会議だったんだ。」
なにが起こっていたのかわからないのは、とても不安なものです。
父の病気がこれからどうなっていくのか、は看護師として予測はできました。
だけど、使えるサービスがよくわからなくてどんな手立てが使えるのかがわからない。
家での介護がこんなに大変だなんて知らなかった…一般の人だったらどれだけ不安なんだろう…
父が亡くなってほっとしたとき、頭に思い浮かびました。
病気のことがある程度わかること、介護保険や福祉サービスのがわかること。
両方の面からお手伝いできたら…。
私と同じ思いをする方が少しでも減らせる力になれるのかな、と考えています。
父の闘病生活はnoteにまとめているところです。
参考note:実の父を大腸癌で亡くしました|りさままなーす|note
さいごに
地域包括支援センターで働いていて1年。
病棟で働いていたころには気づけなかったたくさんの課題に気づくことができました。
私ひとりでどうにかできることではありません。
でも課題を課題のままで終わらせるのは、誰にとってもよくないこと。
とくに患者さん、利用者さんの不利益にしかならないからです。
支援する人をより良い状況にしてあげたい目標は同じなのに、連携はとれずすれちがいばかり。
勤務している病院では病院内に地域包括支援センターがあるのに、すごくもったいない話です。
地域を良く知るスペシャリストぞろいなんですよ、うまく活用できて、お互いの相乗効果が出るようにしたい。
仲間を増やして、少しずつ良い循環ができていったらいいな…なんて未来を思い描いています。
振り返りたくなったらまたまとめますね!
ここまで読んでくださってありがとうございました!♡
(ついでのお話)看護師には地域包括支援センターの存在を知ってほしい
地域包括支援センターは介護保険の認定が「要支援1あるいは2」で介護サービスを受けているのなら、担当している場合がほとんどです。
詳細には異なることもありますが…。
もしも「地域包括支援センターってなんだっけ?よく知らないなあ…」とお思いでしたら、この記事をきっかけに「ふーん」程度でいいの頭の隅にもおいてくださったら嬉しいです!
経験年数2年目で足りないところが満載ですが、支援センターの役割について簡単にまとめた記事もあります。
参考記事:地域包括支援センターの役割と業務を看護師経験しかない新人保健師が簡単にまとめてみました
地域包括支援センターと連携ができれば、入院前の患者さんの情報を知ることができたり、自宅訪問をしていれば生活環境なども教えてもらえますよ。
退院を目指すにあたって、患者さんがどれだけ支援を受けられるのか、家での環境がどうなっているのかはぜひ知っておきたいです。
薬はどうやって管理するのか、生活していくためにどんなリハビリをすればいいのか、どんな指導が必要なのか?などなど。
入院中にやるべきことが見えてきますよね。
同じような疾患でも、患者さんそれぞれの価値観もちがえば、家族などの支援体制も帰るところもちがいます。
急性期病院はとくに早期退院を目指す病院の事情もあります。
すべてを完璧にしてから退院が難しい現状もよくわかります。
どこまでできて、どこまでサポートがいるのか、をリレーのように地域の支援者にバトンを渡していきましょう。
まずは知ることから始めてくれたらとっても嬉しいです!
連携をとるのは緊張しますが、病院と地域でお互いに歩み寄っていけたらいいですね。