みなさんは「真面目」と聞いてどうお思いになりますか?
悪い意味に感じる方はいないのではないでしょうか。
真面目な人と言えば…
コツコツと勉強や仕事をしたり、言われたことをきちんとやる、信頼できる人なのだと思います。
自分自身もわりと真面目で悪い人間ではなかろうと思い、生きてきました。
ところが、たまたまAmazonの「Kindle Unlimited」の読み放題で見かけた、勝間和代さんの「まじめの罠」に引き寄せられて一気読み。
2011年に発刊されていますが、2023年に40歳を迎えたばかりの私の胸にぐさぐさ刺さりました。
日本国民はほとんど「まじめの罠」にかかっている?
日本人は真面目な国民だといわれていますよね。
真面目な国民性をとても誇らしく、ときには他の国のいい加減さに「これだから外国は…」なんて鼻で笑うようなこともありました。
ですが今やどうでしょう。
経済の不振や今まで下に見ていたアジア諸国の成長。
少子高齢化による社会保障の圧迫、格差の拡大、賃金は目減りするばかりで空白の30年間とか、現在の日本において悪いニュースばかりが飛び交っています。
戦後、コツコツと真面目に物を作り、敗戦国とは思えないくらい目まぐるしい成長、発展を遂げた国であるというのに。
「まじめ」だからこそ今の日本の状況に陥ったのだと著書「まじめの罠」では指摘されています。
国が言うことは絶対、上司が言うことは守る。
とにかく一生懸命に、真面目に働けばよくなる…。
そんな他力本願な生き方では、人生が好転することはないのです。
「まじめ」が取り柄だったのに、取り柄なんかじゃなかった
国が決めたことは絶対、偉い人がいっているのは本当。
ずっとそう思って生きてきました。
学校で習うことがすべてで、一生懸命コツコツ勉強して成績を伸ばせば、良い大学に入ってよい仕事に就けるようになる…。
まさに昭和生まれの私はそんな考えの中で、しっかりと染まってきました。
看護師になってからも、持ち前の真面目さでコツコツ頑張ってきたものの、まわりが主任、師長になるのを横目にいつまでも一般ナースのまま…。
「まじめ」に頑張ったところで、昇進するわけでもない。
ただやるべき仕事を一生懸命やっているだけでは、道が勝手に開けるわけではない。
まさに「まじめの罠」にハマっていたんだな、と思います。
出産・子育ての始まりから崩壊、そして「子どもは1人でいい」と決心してから何かが変わった
娘が1人います。
この記事を書いているころは小学二年生。もうすぐ8歳になります。
娘が生まれて、十数年続けていた仕事を産休・育休で休み、想像していた以上に何もできない時間を過ごしていました。
仕事復帰をして時短勤務をしてみても、自分の時間はほとんどとれず、今までの自分は何だったのだろうと、とんでもない世界に入ってしまったと思ったものです。
まじめにコツコツやっていては、時間がいくらあっても足りません。
仕事でも生活でも、常に改善、改善。
確認して、石橋をたたき割ってでも進まなかった私が、娘を育てるために進むしかない。
出産前までは、研修に必ず参加していたのに必要最低限にして、研修レポートもざっくり。
残業もいつまでもできないから、必死に終わらせて、時には残務をお願いして保育園のお迎え。
何もかも中途半端だし、できないことも増えて「まじめ道」をおもいっきり外れていくことになりました。
大きかったなと思うのは、「子どもは1人でいいと決心したこと」
今まで生きてきた中で、普通だと考えていた人生の歩き方を外せたのです。
大学までいって、就職して、結婚して、マイホームを購入して、子どもを2人は産む…。
CMやドラマで見かける「普通の家族」の姿であることが当たり前のように思っていました。
まわりからも「(子どもの)2人目の予定は?」と聞かれます。
そう親しくない人にも。
「子ども1人は寂しい」「もう1人産まないと」
今思えば本当に身勝手な言葉だと思います。
そんな時に出したツイートやnoteは普段よりも共感していただけた気がします。
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私はひとりっ子ですが、別段さみしくないし、楽しくやってきました。
「世の中の当たり前」から外れることは「まじめ」に生きる人にとっては不安に感じるところもあるでしょう。
でも、出産って人それぞれの事情があるし、男の子とか女の子とか自由にできる話じゃないのに、「跡継ぎの男の子を生んでほしい」とかむちゃな話だなと思います。
子育ては大変だけど、自分の価値観や「まじめ」に生ききれない経験をさせてくれているのは、ありがたいことだなと思っています。
まあ、新しいまじめ道、「母親はこうあるべき」論に振り回されることもあるのですが…。
子育て中に感じる矛盾、「まじめ」って本当は人の良さを消している
生まれてからの娘の成長を見ていると思います。
あんなにも自由に無邪気に、いろんなものに興味を示し、突拍子もない遊びをしてみたり…。
時には危ないけれど、なんの迷いもなく好きなことをしたり、思いもよらない行動をとってみたり。
幼少期の娘の頭のやわらかさに、いつも感心させられていました。
保育園、小学校へと成長していくにつれて、自由な発想、行動する力を削がれているように思うのです。
社会性を身に着けることは、人間社会で生きていくのに必要なことです。
とはいえ、日本の教育の特殊性でしょうか、他の子と同じでないといけない、答えはこうあるべき…。
そんな型にはめられて、偉い人たちの使いやすいコマにさせられているのはないかなんて思ってしまいます。
考える力を削いで、都合の良い「まじめ」な人間にする…。
娘には自分の頭で考えて、自分の力で行動する人になってほしい。
そう願いながら接するようにしています。
日本の学校教育がすぐに大きく変わるとは思えません。
もっと私自身に余裕ができないと難しく感じているのですが…。
働き方を考えるようになったのも、娘がいてくれるからこそです。
「まじめ」でいることで可能性をなくしているよね?
「まじめ」自体は悪いことではないと思いたいところですが…。
都合のいいように扱われたり、間違っているかもしれないことに気づけなかったり、自分で考えることをやめたり…。
まるで自分自身のない人形のような存在にも思えてきました。
まじめにコツコツ勉強すること、働くことは悪いことではない…けれど。
常々「このやり方であっているのか?」「指示があったけどもっといいやり方はないのか」
そう考えることで、もっと大きな可能性に結びついて、新しい出会いや仕事がうまれるかもしれない。
もっと働きやすくなるかもしれない、楽しくなるかもしれない。
常々疑問を持って、より良い方向に結び付けていくことが、自分の未来、この日本の未来を明るい方向に連れていってくれると思います。
変わらないでいることは安心ですし、「その時」の負担は少ないでしょう。
でも何か問題が起きたときに、もっと大きな問題になってあとあと降りかかってきます。
自分の信念に反していることを続けるのも苦痛です。
言われたことを丁寧に「まじめ」に疑わずにやり続けることで、可能性をつぶし、自分の意にそぐわない時間を過ごすことになるなら、やっぱり「まじめ」でいるのはもったいないと思うのです。
必要な努力を正しい方向性でやっていく
勝間さんは、著書の結びに「精神的なプレッシャーやストレスが適度なレベルまで弱まればいい」と述べています。
いきなり「不真面目になろう!」といっても無理な話ですよね。
(不真面目とはいっても、決まりを守らない、人に迷惑をかけるのはまた違った話です)
本当はやらなくてもいいことや、もっと簡単にできること、手を抜いてもいいこと。
少しずつ身の回りから振り返ってみてはどうでしょうか?
誰かの言葉を「まじめ」に聞いて「まじめ」に取り組んでいては、自分の人生を生きているとは言えません。
みんなが言ってるから、国が言ってるから、テレビが言ってるから…。
そんな言葉を振り切って、自分の頭で考えて、自分で選んで行動していきましょう。
すぐには無理でも、少しずつ、少しずつ、やっていきましょうね。
脱・まじめの罠
勝間和代さんの「まじめの罠」は、2011年に発刊されていて、2023年の今になっても身に染みる内容です。
12年経っても日本がずっと変わらずにここまで来てしまったんだと、落胆する気持ちにもなります。
かといって、国のせいだ、ちゃんとやらないからだ!と言っているばかりでは結局は変わりません。
お上に期待しているばかりで、自分の意思で力で行動しようとしないのは結局「まじめ道」に沿って進んでいるのと同じこと。
コロナ禍はまさに、日本で起きているいろんな問題を可視化したように思います。
マスクを着けるつけない、ワクチン論争、働く場所や働き方を変えたり、学校や保育園も急な休みやオンライン授業など大きな変容を余儀なくされました。
正しい答えが常に用意されているわけではない。
「まじめ」な国民性の私たちは、今も論争を呼び、悩み苦しむ方も多いことでしょう。
意見の強い人に引っ張られたり、会社や学校の言われたように行動したり…。
未知のウイルスとの対峙で誰にも正解はわかりません。
そんな中で、何度も何度も考えて、その時々の世界を見つけて、なんども試行錯誤して…。
「まじめ」でいられない、何に従えばいいのかわからない状況に強制的に身を置くことになったのは、デメリットばかりだったとは思えません。
(命や健康を脅かされた方々のことを思えば簡単には言えないのですが)
「まじめの罠」を読んで、自分の頭で考えて、自分で決めて行動することの大切さを改めて言葉にしてもらいました。
自分でできることは…
・言われたことをうのみにしない ・完璧主義をやめる ・失敗を恐れない ・自分の置かれた状況を客観視、自分の心・体の声を聞くようにする ・自分も家族も他者も大切にする
なんてことが思い浮かびました。
勝間和代さんの「まじめの罠」にはもっとわかりやすく、具体的に「まじめの罠」から脱却する処方箋が記載されています。
12年も前に発刊されてからも現代に通ずる処方箋。ぜひ読んでみて、「精神的なプレッシャーやストレスが適度なレベルまで弱まればいい」状態にもっていってほしいです。
ストレスがなくなることはありませんが、「まじめ」すぎて完璧にしよう、他者の言われたとおりにしようと過度に感じる必要はないのですから。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
勝間和代さんの「まじめの罠」は、Amazonの「Kindle Unlimited」の読み放題で読めましたよ。(2023年5月現在です)